末日聖徒イエスキリスト教会 リアホナ2015年12月号 総大会に日本手話通訳放送を試行

    総大会に日本手話通訳放送を試行

    日曜午前の部会のみパイロットプロジェクトとして

    2015年秋の第185回半期総大会は, 日本の聴覚障がいを持つ教会員とそ の家族や友人にとって,とりわけ印象深いも のとなった。日曜午前の部会に限ってではあ るが,日本手話通訳の試験放送が行われた のである。10月11日の総大会視聴の際には, 幾つものステークセンターで,日本手話通訳 付き映像の上映と,字幕のみを流す別のモニ ター画面が併用された。(右下写真) 

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    ソルトレーク・シティーにおける総大会の 翌週,全国各地から東京の日本サービスセン ターに5人の手話通訳技術を習得している 教会員が集まり,手話通訳の収録が行われ た。手話の映像は,総大会の映像を背景に 合成された。(右画面参照)

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    これは奇跡と祝福です

    日本手話とは,日本語とは異なるもう一つ の言語である。話の意味内容を直接,手指 と腕や体の向き,視線,表情などを複合した ニュアンスの豊かなサインで伝えるもので, 日本語とは語 ご 彙 い や文法の成り立ちが違う。 国や地域によって独自の手話が発展してお り,現在,教会の正式な言語としてはアメリ カ手話のみが承認されている。

    この放送における手話を監修した井上幸子姉妹はこう語る。「手話通訳収録を振り 返ってみて,あの数時間は奇跡の瞬間だったのだとじわじわと込み上げてきています。わ ずか二晩(数日)で猛練習し,本番では全員が話者の手話通訳を一回でやり終えて,撮り 直すこともありませんでした。これは奇跡で あり,祝福です。聴覚障がいを持つ教会員た ちからは,『すばらしかった!』などのうれし 泣きのコメントを頂いています。ようやく, ろう者たちの声なき声が天に届いたように 感じます。また今回をきっかけに,具体的な 要望が出るようになりました。例えば,『午 後の部会も手話通訳を入れてほしい』『見慣 れていない手話通訳の場合は,字幕も一緒 に入れてほしい』『地名や人名など長い単語 は前もって書いたものを一緒に撮ってほし い』などの意見が寄せられています。」

    現在のところ,総大会の手話同時通訳がで きる技術レベルを持つ教会員の数が限られ るため,全ての部会を通訳するにはまだ課題が残る。総大会の動画を見ると,話者の話す自然なスピードに手話を追随させるのは相当に高度な技術が必要だと分かる。なお,手話通訳技術を習得している教会員は圧倒的に女性が多い。安息日の集会では,女性の手話通訳者が神権会に同席することもあると いう。男性も女性も,確かな手話通訳技術を 持つ教会員の養成が求められている。

    日本手話という母語

    また,よくある誤解に,ろう者の方々も日本語は読めるはず,というものがある。 井上姉妹は言う。「『字幕があるのにどうし て,手話通訳も必要なの?』とあちこちでよ く聞かれます。それは,『アルファベットが分 かるのだから,スペイン語もできるのでしょ う? 漢字が分かるのだから,中国語も分か るのでしょう?』と言われるのと同じです。 一般的に,ろう者たちがリアホナ(機関誌) を読んで御霊を受けることは難しいです。母語である手話を通してこそ,理解できるので す。『手話で証をしてくれると,自分の証も強 くなる』と話す,ろう者の姉妹もいます。彼女が改宗した当時は筆談,ノートテイクしか なかったため,とても苦しい時期だったそう です。彼女にとってこの手話通訳映像は大きな祝福になったことでしょう。」

    この総大会手話放送を利用した,ろう者とその家族や友人を中心に追跡アンケート調 査がなされた。今回の試行を参考にして,今 後の総大会手話通訳についての方針がアジ ア北地域会長会で検討される。日本では年 に数回,手話・字幕カンファレンスが開催されるほか,日本手話通訳付き賛美歌の動画が順次制作されるなど,ろう者を対象とするプ ログラムや教材も徐々に増えつつある。◆