リアホナ2008年6月号 フィリピン人教会員のコミュニティ,東京で交流する

    フィリピン人教会員のコミュニティ,東京で交流する

    ── 母国語であるタガログ語での親睦会

    東京ステークの中野ワード教会堂を会場として,フィリピン人会員の親睦会が3月15日(土)に開催された。東京近郊のワードにはフィリピン人会員が多いが,ワードを越えて互いに知り合う機会は少ない。それぞれのワードに所属するフィリピン人会員は少ないため,自分たちの言葉で福音を語り合ったり,悩み事を相談する機会にも恵まれていない。その意味では,ワードを越えて知り合う機会をフィリピン人会員に提供したことは,価値ある試みだったと思われる。

    「Magandang hapon po!」──会場に集まるフィリピン人会員が互いにあいさつを交わす。ほとんどが初対面なので少し緊張している面持ちだが,すぐに打ち解けて笑顔がこぼれる。出席した日本人会員も片言のタガログ語であいさつをする。それを一所懸命理解しようと,やさしく見守り,ときに発音を直してあげるフィリピン人会員。普段の集会で日本人が外国人に接している場面とはまったく逆だ。

    「日本語がよく理解できない環境の中で,毎週,日本人と一緒に集って信仰生活を保っているフィリピン人会員は立派だと思います。それぞれは確固とした信仰を持っているのですが,日本語を流暢に話すことはできない人も多いので,教会の中で果たす責任も限られてきてしまいます。本来の能力を発揮する機会に恵まれませんので,ワードの中にあっても静かに過ごしている人も多いと思います。日本人が助けるよりも,同国人として助け合った方がもっと効果的だと思います。フィリピン人会員がもっと知り合い,互いに助け合い,楽しめる環境を作れればと思いました」と実行委員のスタッフは話す。

    集会に集ったフィリピン人の姉妹たちの背景は様々だ。日本人と結婚して夫が改宗し,家族で教会へ集っている人も数人いる。また,子供が宣教師として奉仕している家族もいる。その喜びも,普段の悩みも母国語で語り合えればということから,親睦会はすべてタガログ語で行われた。「今日きょうはタガログ語だけ話してください!」という司会者の言葉に拍手でこたえるフィリピン人会員。一緒に出席した数人の日本人会員や宣教師たちに構うことなく,自由に母国語で語り合い,笑う。出席したある日本人会員はこう感じた。「普段,集会に出席しているフィリピン人の人たちが,どのような気持ちで集っていたのか分かったような気がします。何を言っているのか分からない中,自分以外の人たちが楽しそうに笑い,ときに感動の涙を流しても,違う世界にいるようで取り残されていたのではないかと思いました。」

    親睦会ではフィリピンの歌が披露されたり,それぞれの才能を生かした演し物が発表されたりした。子供たち向けにゲームも行われ,持ち寄られたフィリピン料理を味わいながらの語らいは尽きなかった。日本人の知らないフィリピンの美しいメロディーの歌が次々と歌われる中,「故郷の歌をみんなで歌う機会があるなんて……」と涙を流すフィリピン人の姉妹も。

    「フィリピンの人たちはすぐに互いに親しくなります。困っている人がいれば互いに助け合います。わたしたちにはたくさんの悩みがあります。信仰のこと,子供の教育,ビザの問題,仕事,家族,言葉の問題……。あらゆる問題に囲まれて生活しています。日本人には理解してもらえないこともあるかもしれません。しかし,フィリピンの人たちが集まれば,互いの情報や経験を交換して問題を解決することができます。その相談相手が教会員であれば,なおのこと信頼できますし,強いきずなで結びついていると思います。」

    最後に証をした姉妹は次のように語った。「わたしたちの国はそれほど豊かな国ではありません。しかし,わたしたちは日本へ来る機会に恵まれ,たくさんの祝福を受けています。しかも,神様の教えを知ることもできました。わたしたちは日本で生活し,ほんとうに祝福されています。この喜びはもっとたくさんの人たちに伝えていかなければならないと思います。わたしたちの心は豊かだと言うことを忘れてはいけないと思います。」

    タガログ語での祈りの後,参加した姉妹たちの目は涙であふれていた。2時間前には初対面であったが,会場を去るときには,名残惜しさと信仰で結ばれた友情で満ちていた。「必ずまた会いましょう!」とだれもが口にする。そして,「できれば……できれば,もっとフィリピン人会員だけで集まりたいですね」と笑いながら日本人会員に話す。次回の親睦会は10月に計画されている。◆