リアホナ2008年7月号 ─豆知識⑤─実践を通して学ぶ

    ─豆知識⑤─実践を通して学ぶ

     (地域福祉部)

    天の御父がわたしたちをこの地球に送られたのは,学び,経験を得るためです。学ぶべきことの多くを,わたしたちは実際に行動することによって初めて身に付けることができます。単に研究するだけでは不十分なのです。例えば,愛について書かれた言葉を読んだからといって,人を愛することを学べるわけではありません。だれかをもっと愛するようになるには,その人に仕えなければならないのです。

    主は御自身の教会において,わたしたちが人に仕え,導くことを通して愛について学ぶ機会を多く備えてくださいました。与えられた職や召しを果たすとき,様々な困難に何度も遭遇します。自分の務めを果たすことによって,それらの困難を克服するとき,能力は高まり,以前は難しいと感じた事柄を容易に行えるようになります。そして同様の問題に立ち向かうほかの人を助けることができるのです。

    学歴にかかわらず,すべての人が実践を通して学ぶことができます。一人の女性の例を紹介しましょう。教育を受ける機会にまったく恵まれなかったというその女性は,著名な科学者であるルイ・アガシ博士に,かつて次のように不平をもらしました。姉妹で下宿屋を経営していて,ほかのことをする時間を一切持てないと言うのです。どのような仕事をしているのか尋ねる博士に彼女はこう答えました。

    「ジャガイモの皮をむいたり,タマネギを刻んだりしています。」

    博士は続けて尋ねました。「奥さん,そのような興味深いながらもありふれた仕事をするとき,どこに座っているのですか。」

    「台所の階段のいちばん下の段です。」

    「足をどこに置きますか。」

    「化粧れんがの上です。」

    「化粧れんがってどんなものですか。」

    「さあ,分かりません。」

    そこで博士は言いました。「そこに座って仕事をするようになってどのくらいになりますか。」

    「15年になります。」

    「奥さん,わたしの名刺を差し上げますから,化粧れんがの特質について書いて,わたしに送ってくださいませんか。」

    彼女は博士の提案を忠実に実践しました。辞書で「れんが」について調べましたが,そこに書かれている定義は有名な科学者に報告するには簡潔すぎるように思えました。そこで,次に百科事典を使って調べることにしました。「れんが」の項目を読むと,知らない言葉が幾つもあったので,それらについても調べました。やがて自分が学んでいる事柄に深い関心を持つようになり,れんが工場に出かけて行きました。研究を終えた彼女は,今度は腰を落ち着けて化粧れんがに関する36ページの研究結果を書き上げ,アガシ博士に送りました。

    折り返しアガシ博士から手紙が届き,小さな変更を数か所加えたうえで彼女の論文を出版したという知らせとともに250ドルが送られてきました。また手紙の最後には,次のように尋ねる言葉が記されていました。

    「れんがの下には何があるでしょうか。」

    れんがの下を見ると,アリが目に留まりました。そこで今度はアリに関する研究に取りかかりました。アリには800から2,500もの種類があることを知りました。アリの多種多様な生態や巣に大いに興味をそそられた女性は,幅広く文献を読み,入念な研究を重ねた結果,アリについて360ページにも及ぶ論文をアガシ博士に書き送りました。博士はその論文を出版し,さらに多くのお金を彼女のもとに送ってきました。

    受け取ったお金で,女性はいつか訪れたいと夢見ていた国々をすべて訪れる旅に出かけたのです。(マリオン・D・ハンクス,The Gift of Self〔1974年〕,151-153から編集)

    リチャード・L・エバンズ長老はこう教えました。「人に与えることのできるものと,でないものがある。すなわち,自ら手を伸ばしてつかみ取り,進んで代価を支払わなければ獲得できないものがある。勉学,才能の開発,知識の吸収,技術の獲得,人生のあらゆる教訓に,この原則が当てはまる。」(リチャード・エバンズ,Quote Book(1971年),74)◆