リアホナ2007年7月号Spiritual Learning Strategies(霊的な学習戦略)

    Spiritual Learning Strategies(霊的な学習戦略)

     有泉芳彦兄弟

    有泉芳彦兄弟は,東京大学農学部で生態系の保護を学び,卒業後伝道に出て帰還。東大の教育系大学院で学校教育学の修士号,BYU本校の教育心理・工学Instructional Psychology & Technology の分野で博士号を取得し,ニューヨーク郊外のラファエット大学で外国語・外国文学部日本研究助教授として10年にわたり教鞭を執りました。以下は,有泉兄弟がご家族のために執筆した霊的な学習の方法論からの抜粋です。勉学に取り組む末日聖徒の若人のために,有泉兄弟の許可を得て掲載します。(編集室)

    天から力を得て学ぶときに学習の成果は加速される。このマニュアルは,「絶えず祈りなさい」という聖典の教えを具体的にどのように実行し,天の力を招くかという方法を説明している。以下の手引きは,わたし自身これを忠実に試して,その成果を確信した経験に基づいている。

    有名大学に合格したい。このような望みがふさわしいものになりえるかは,自分の心のあり方次第である。「神の勧告に聞き従うならば,学識のあるのはよいことである。」(2ニーファイ9:29)だから,心から,「神様,自分は主の御手みてに使われて,自分と家族と教会と社会をキリストにあってよりよいものとするように,学問を修め実力をつけて主の業を行いたいと思いますので,この学習を助けてください」といった祈りをささげ,そのように心から思い,首尾一貫してそれを行えば,主は驚くべき方法で次々と道を切り開いてくださる。

    これから説明する方法は,さまざまな領域の活動に関して試されてきたが,わたしの経験してきた変化のパターンは,一般に,最初はゆっくりとしたプロセスで,それから次第に調子が出てきて,ある一定の時期を過ぎると爆発的な成果が出てくるというものであった。同じような成長のパターンを,これを実行する人たちは経験するに違いない。

    この方法を試みるために,3つのキーワードがある。記録をつけながら組織的に学習活動について振り返る。頻繁ひんぱんで心からへりくだった祈り。サイクルのプロセスを作り出す。

    記録

    書くという行為の中には,計り知れない力と影響力が潜んでいる。聖典自体がこの行為の結果として生まれているだけでなく,記録することの大切さについて言及した箇所が多いことも意義深い。

    まず,具体的な目標を考えては書き,書いてはそれを何度も見ることによって記憶を新たにし,心をそこに向けて努力することである。神様に祈るときには,たくさんの考えが浮かんでくるから,それを書き留めること。自分の考えや,感じたことも書き留めること。ただし,長々と書く必要はない。たいてい,キーワードを書いておけば,細かいことは思い出すことができるから,考えのスケッチだけでもいい。それらの書いたものを1か所に集めておけるように,学習日誌を作っておくことが望まれる。そして,それを機会あるごとに読み返し,考えること。そのような活動は,安息日にまとめて行うのもふさわしいと思う。

    祈り

    祈りは,霊感を呼ぶ手段であり,天の御父を学習のパートナーとするために欠かせないことである。自発的に,創造的に行う祈りは,スピリットに満ちたものであり,深い平安と喜びをもたらしてくれるものである。アルマ書第32章42節にある,「どんな甘いものよりも甘い」という気持ちも訪れることがある。すばらしい,わくわくさせるような体験である。

    ひざまずき,声に出して祈ることを勧めたい。厳粛な気持ちで,天の御父に近づくとき,つまり,アブラハム(創世記18:1-7)やヤレドの兄弟(エテル3:2-4)の態度に見習うときに,彼らに訪れたすばらしい霊感と祝福にわたしたちも与ることができるのである。

    サイクル

    永遠進歩の鍵は「サイクル」による繰り返しの中で徐々に向上することにある。できるかぎり意味のあるサイクルを自分で新たに作っていくというのが,わたしの提案する方法論である。一つのサイクルの中にある基本的なステップは,「計画」「実行」「評価」で,これを繰り返すときに,螺旋階段を上るように学習を効率のよいものにすることができる。この方法には上限がないことが特徴である。限りない成長が天の御父の助けによって可能になる。

    では,具体的にはどうすればいいのか? 以下にあげる例は一つの提案であって,状況や学習者のスタイルに合わせてやり方を少しずつ修正していくことが望ましい。

    あらかじめ大きな目標を立てておき,またそれを小さい分野に分けて小目標にしたり,月間・週間の目標なども作っておく。さらに,その日の目標なども書き出しておく。それらを基にして,その日の目標に合った小さな学習活動を一つ選んで,それをどのように達成するのか,どのくらいの時間を費やすのかを決め,その目標がふさわしいか,時間設定が適切かどうかを天の御父に尋ねる。

    わたしは,通常15分から60分くらいの区切りで一つのサイクルを終わらせるようにしている。教義と聖約第9章8節に基づいて確認を受けたら,即,その場で実行に移る。ここでのポイントは,時間設定が,易しすぎても野心的すぎてもよくないことである。ただ,自分が通常やっているレベルより,少し高めで,自分をプッシュしないとできないような目標を設定することがポイントである。

    もし,祈ったときに目標に疑問を感じたら,目標に修正を加え,もう一度祈りの中で確認を得る。慣れにもよるが,書き出すところから祈りを終えて実行に移るまでにかかる時間は,たいていはせいぜい30秒から1分ぐらいである。霊的な感度は,人によってまちまちだと思う。聖霊を受けるために,深い悔い改めが必要な人もいるだろう。そんな人も含め,はっきりした導きが感じられない人や,その気持ちを上手に判別できない人でも,あきらめずに,自分の霊性を絶えず高めながら,ひどくこだわったり躊躇したりせずに,時には自分の思い切りで,最善と思われる方法で進んで行くこと。正確な判断力は,後天的に得られるもので,何度も繰り返すことで徐々に識別力が身に付いていくのである。最初から完全な理解を求めないこと。最初はぎこちなく感じるかもしれないが,何十回と繰り返すうちに,自分に合ったスタイルを作り出し,スムーズに天の御父とのパートナーシップを作り出していくことができるであろう。天の御父も限りない忍耐力をもってそのような努力を見守ってくださる。

    次に,祈りによって,導きや助けを求めながら,学習に邁進する。

    時間が来たら,途中でもとりあえずストップする。これは,時間のリミットも含め,ある意味で主との約束でスタートしたことであるから,制限時間をできるかぎり守る必要がある。そして,その時間の範囲でできたことを速やかに振り返って,思いついたことを日誌にメモする。それから,メモを基に天の御父に,できたこと,できなかったことなどについて簡潔に報告し,助けに感謝することも忘れてはならない。そのとき,多くのアイデアがやって来るから,それを書き留めておく。学習に直接関係ないことについても同様にすること。

    その次のステップは,やり残しを終わらせるか,あるいは,新しい活動を始めるのかを判断し,再び主の承認を得て,もう一つのサイクルをスタートする。このようにすると,1日のうちに何十回となく主に祈り,導きを得ることになる。そのような経験を繰り返して分かったのは,サタンのつけいる隙がなく,心は清まり,御霊を受ける頻度が高まることである。「光に満たされるその体はすべてのことを悟る。」(教義と聖約88:67)明らかに,聖霊の力によって理解力が高められ,自分の想像を超える理解が起こってくる。

    こんな一見単純なことが実は成功の鍵なのであるが,成功できるか否かは,どれだけ忍耐強く,また,忠実に以上の方法を実施していくかにかかっている。以上書いたことは,容易そうに見えるかもしれないが,わたしの12年間の研究と,1万ページにも及ぶ記録と考察の結果生まれてきた方法論によって,初めて具体的な形に表すことができたものである。さまざまな時期にこのマニュアルを読み返し,応用する過程で少なくとも10回以上読み返していただきたい。ここに書かれている大切な原則が,少しずつ自分の身に付いていき,この方法によって天の御父とのパートナーシップが徐々に育ち,奇跡の学習が起こっていくことに気づくことだろう。◆