リアホナ2007年12月号 アジア北地域会長会のエバンズ会長・メリー姉妹ご夫妻によるセミナー

    アジア北地域会長会のデビッド・F・エバンズ会長・メリー姉妹ご夫妻による必修セミナーを採録しました

    「完成への道」

    エバンズ会長はまず,全日本YSAカンファレンスのテーマ聖句「恐れることはない,ただ信じなさい。」(マルコ5:36)から基調セミナーを始めた。

    「ヒンクレー大管長の人生にとってこの聖句がなぜそんなに大切か,それを紹介します。」ヒンクレー大管長は1933年,大学卒業後に23歳でイギリスへの伝道に召された。「ちょうどあなたがたYSAの年齢でした。」ソルトレークから汽車でシカゴに向かい,そこから客船でイギリスへ渡る。「彼は召しを受けてもちろんわくわくしていましたけれど,駅に着くと不安になりました。わたしはふさわしいのか,伝道に行った方がいいのかと心配な気持ちになりました。汽車に乗るとき,ヒンクレー長老のお父さんは彼に小さいカードを渡しました。こう書かれていました。『恐れることはない,ただ信じなさい。』この聖句により彼は成長しました。お父さんからは何回も良いアドバイスを受けました。」

    「伝道が難しかった帰還宣教師たち,手を挙げてください。……ヒンクレー大管長も同じでした。彼は自分の言葉でこう言っています。『最初の数週間は気持ちが沈みました。……(大恐慌の時代,宣教師を支援する家族には大きな犠牲が求められていたので)わたしは自分の時間とお父さんのお金を無駄にしているような気がする,と感じました。父がとても短い返事をくれました。「愛するゴードンへ,手紙を受け取りました。アドバイスは一つだけ,自分を忘れて働きなさい。」』

    どうですか。伝道が難しかったらこれしかないですよね。ただ奇跡を待って何もしないと何もなりません。でもわたしたちが自分を忘れて働くときに奇跡がわたしたちに与えられます。ヒンクレー大管長はこのように感じました。『わたしと同僚は少し前に次の主の言葉を読んだばかりです。「自分の命を救おうと思う者はそれを失い,わたしのため,また福音のために,自分の命を失う者は,それを救うであろう。」(マルコ8:35)主のこの言葉とそれに続いて読んだ父の言葉はわたしの心の底まで染み込みました。わたしは自分の寝室に入ってひざまずき,自分を忘れて主の務めを行うよう努力することを主に約束しました。1933年7月のあの日がわたしの決意の日でした。新しい光が生活に射し込んできました。新しい喜びが心に満ちてきました。イギリスの霧に太陽の光が射し込み,わたしは充実した伝道ができました。その経験に感謝しています。』この経験によりヒンクレー大管長の信仰は深くなりました。主のために働くことを約束したときには新しい光が彼の心にありました。彼の人生の霧も晴れていきました。それからヒンクレー長老は主のために働く人になりました。伝道が終わっても,ずっと教会のため主のために働いてきました。……預言者になってから彼はこのように言いました。『幸せになりたいですか。それならば自分を忘れて,この偉大な体系に心から献身してください。そして全力を尽くして

    人々を助けてください。』わたしはそれについて証します。わたしたちは互いに,天父の子供たちのために働かなければなりません。それを通してわたしたちはほんとうの喜びを受けられます。わたしたちはいろいろなことを通して天父の子供たちを助けることができます。」

    伝道

    「では,まず宣教師になる,伝道することについて話します。わたしたちの息子が8月18日にプロボにあるMTCに入りました。今日,彼から最初の手紙を受けました。『愛するお父さん,お母さん。お元気ですか。MTCが大好きです。それをまず話さなければなりません。そこで主の御霊を感じます。』彼の顔を見たら喜びを感じていると思いませんか。『主の御霊は強いです。みんなが親切でわたしを受け入れてくれました。たくさんの友達もできました。わたしの同僚は最高です。わたしの良くない点を直すようにわたしを助けてくれます。……』まだ始まったばかりですけれども,とにかくこういう手紙です。わたしはこの手紙に喜びを感じています。親としてだけではなく,彼のためにわたしは喜んでいます。父としてわたしは感謝しています。彼が福音の喜びを実際に経験しているので,わたしは心から感謝し,喜びを感じます。……(喜びにあふれた表情の宣教師たちの写真を見せる)夏は暑いですが,冬になれば寒くなります。雨も雪も降ります。でもそれは福音の喜びとは関係ないのです。ほんとうの宣教師になり主のために働くとき,何の経験であってもこういう喜びを感じます。」

    「一つのことを約束いたします。伝道に行けば,喜びを感じます。もちろん,伝道するのは難しいです。教育を受けるのは大切です。でもお願いしたいことの一つは,伝道に行くことを通じて奉仕し,ヒンクレー大管長と同じように主の方法に従うことを,今日,明日,あさって,決心することです。伝道に行くことはすばらしいことです。わたしはベドナー長老と一緒に名古屋,神戸,広島,福岡の伝道部に行きました。宣教師たちに会いました。みんなが喜びを感じていました。それを信じてください。もし伝道に行くことに何か不安があればこのカンファレンスのテーマを覚えておいてください。『恐れることはない,ただ信じなさい。』」

    結婚 家族

    次に,エバンズ姉妹が壇上に立った。「末日聖徒として幸福の計画を信じています。この計画の核となるものは基本である家族です。そして幸福の計画は結婚や家族を中心に回っています。でも世の中はわたしたちに違ったことを告げます。すべてはあなたを中心に回っていると言います。仕事,お金,楽しいこと。でもそれは天父がわたしたちに教えてくださることではありません。では,何を信じるのでしょうか。天父でしょうか,それともほかのものでしょうか。皆さんがデートするのは信仰のある行いと考えてはいかがでしょうか。結婚もまた信仰の行為です。わたしたちが信仰をもって行うときに,祝福が与えられます。

    では,皆さんに少し覚えていただきたいことがあります。もし馬に乗っていて,その馬を止めたいと思ったら,手綱を引いて『ウォー』と言います。馬を進めたいときには『ゲットアップ,レッツゴー』と言います。先ほどデートについてお話ししましたが,伝道に出るまでは『ウォー』と言います。(帰還した)後で,『ゲットアップ,レッツゴー』と言います。」──エバンズ姉妹は,エバンズご夫妻の結婚当初の様子を語った。「わたしたちは伝道に行く前にデートをしていました。そして主人は東京に伝道に来たのですが,わたしはその間ほかの人とデートしていました。でも主人が伝道から帰ったときに,この人がわたしの結婚する人だと分かりました。」当時エバンズ兄弟は大学生で,姉妹は仕事をしていた。姉妹の家族は,兄弟が大学を卒業して経済的に安定するまで結婚を待ったらどうかと言った。「でもわたしが結婚するために天父がこの青年をわたしに送ってくれたと思いました。主人も同じように思いました。待つことは正しくないとお互い知っていました。わたしたちは神に信仰を持たなければいけません。もしそうであれば天父がすべてを治めてくださると信じていました。

    神殿で結婚しました。結婚には家族を養うという責任が伴います。家族をもうけ子供たちを育てました。主人は大学の教育を終え,法科大学院ロースクールに行き始めました。当時3人の子供たちがいました。まだお金はありませんでしたが,わたしたちは幸せでした。当時わたしたちが家族の活動として行おこなっていたことは子供たちをアイスキャンディ屋さんに連れて行って,当時5円だったアイスキャンディを買うことでした。それだけしか買えませんでした。小さかった子供は今や35歳になりました。そして彼に小さいころアイスキャンディ屋さんに行ったことを覚えているかと聞きました。「お母さん,もちろん覚えてるよ,あのアイスキャンディ屋さん,大好きだったんだよ。」

    幸せでない家族もあることを皆さんは御存じと思いますが,そのほとんどはわがまま,自己中心になることから生じます。どうぞ恐れないでください。そして後悔することのないようにしてください。皆さんは自分の家庭を幸福な家庭にすることができます。ヒンクレー大管長はこのように言いました。『天の王国では夫と妻が並んで歩きます。一方が他方の前を歩くということはありません。皆さんの家族を愛と平和の家族にしましょう。家庭の夕べを行い,子供たちに主の道を教え,彼らに聖文を読み聞かせ,永遠の福音の偉大な真理を彼らに教えてください。』これが喜びです。」

    エバンズ会長も言い添える。「あるとき,聖霊を通してこのように確信しました。わたしがエバンズ姉妹にふさわしくなることで,ともにわたしたちは天に帰ることができ,また二人が交わした聖約に忠実であるなら,わたしたちだけでなく,子供たちも連れていつか天に帰ることができるのだと。結婚というのは重荷,義務だけではなく,すばらしい祝福です。幸福の計画,救いの計画の中心に永遠の結婚があります。それを求めてください。わたしの今までの人生でいちばん大きな祝福が永遠の結婚です。」

    教育

    「ヒンクレー大管長は教育の大切さについてこう話されました。『犠牲を伴ったとしても若いうちに可能なかぎりすべての教育を受けてください。教育はあらゆる機会への扉を開く鍵かぎです。』──ほんとうにそうです。『誇りをもって取り組めるのであれば,どのような職業に就いてもかまいません。今のあなたの状況がどうであろうと,希望する職業に就くための訓練の機会を逃さず,またその機会を最大限に生かしてください。』若いうちに教育を受けてください。エバンズ姉妹とわたしの知っている若い人たちの中には,教育を充分に受けていない人たちがいます。今はアルバイトで暮らせるかもしれませんが,自分の将来の生活のために少し考えてください。愛する伴侶,家族をどのように養うことができるでしょうか。ですから,可能な限りの教育を受けてください。わたしは皆さんの地域会長として,ヒンクレー大管長の言葉を借りて皆さんに同じことをお勧めしたいと思います。」

    奉仕

    「『神はわたしたちを心に留め,見守っておられます。しかし,神は普通,だれかほかの人を通してわたしたちの必要を満たされます。ですから,王国で互いに仕え合うことがきわめて大切なのです。』わたしはキンボール大管長のこの言葉が好きです。今日,皆さんは(ミクロネシア)の人たちのために奉仕してくださいました。それを見て,ベニヤミン王の言葉を思い出しました。『すなわち,あなたがたが同胞はらからのために務めるのは,とりもなおさず,あなたがたの神のために務めるのである。』今日の奉仕の結果がどうなるのかを考えてみてください。わたしはミクロネシアのすべての伝道部を訪問しました。1週間ほどかかりました。わたしたちが想像できないほど貧しい状態です。皆さんが行おこなった奉仕がミクロネシアの人にとってすばらしい祝福になるに違いありません。今日,周りの人たちを助けてください。」

    忍耐

    エバンズ姉妹が再び登壇する。「これは長女のベッキーと彼女の夫であるブライスの写真です。(右上)ブライスはチリで伝道していたときにとても大きな事故に巻き込まれました。自転車に乗って石がたくさんある坂道を下っていましたが,気がついたときには自分の顔がごつごつした石に打ちつけられていました。たくさん出血しました。だれも立ち止まって助けてはくれません。結局,バスに乗って病院に行き治療を受けられるように同僚が手配をしてくれました。事故に遭ってから病院に着くまでに時間がかかったので,傷はすでに炎症を起こし危険な状態でした。チリではこれ以上治療を施すことができません。治療を受けるために伝道から帰ってくることもできました。それでも彼は帰りたいとは思いませんでした。伝道に出たばかりの宣教師でしたが,彼はできる限り主の望まれることをしたいと望みました。12回の手術をしてなお傷が残っています。しかし彼は決して自分の外見に惑わされたり,心を奪われたりすることはありませんでした。自分には教えるメッセージがあると彼は知っていたのです。(その傷の)利点を知るまでにかなり忍耐を要しました。同僚と彼が伝道するとき,『メッセージには興味がないよ,でも君はすごく醜いね,君の目はどうしたの。家の中に入って説明してよ』と招き入れられました。それはとてもすばらしい伝道の道具となりました。」

    「ベッキーは大学生でした。帰還宣教師の青年とデートをし,二人は結婚しようと決めました。それはほんとうに正しいことなの,とわたしは彼女に聞きました。ベッキーは(二つの)リストを書きました。なぜ結婚すべきかというリストは,なぜ結婚すべきでないのかというリストより長い,長いものになり,結婚の話を進めましょうということになりました。いろいろな計画を立て,ウェディングドレスも購入しました。でも何か足りないことがありました。ベッキーはそれが何かと考えていました。彼女は,この男性と結婚すべきか答えを受けるために断食して祈り,聖典を読んでいました。でもその答えは与えられませんでした。そして彼女はその若者に結婚できないと伝えたのです。そのためにベッキーは自分の持てる信仰をすべて使わなければなりませんでした。何が起きるか,自分の将来がどうなるのか彼女はまったく分かりませんでした。その青年はなかなかそれを受け入れることができませんでした。

    わたしは美しい娘を見守ってきました。再びデートするのを見ました。でもそのうちのだれも彼女にふさわしい人ではありませんでした。自分は正しい選択ができたのかしらと彼女が考えているのをわたしは知っていました。彼女は自分自身の信仰に目を向けました。天父からの確認が必要だと彼女は知っていました。自分が忍耐しなければならないことを彼女はよく分かっていました。いつか自分が望む祝福が与えられるということを知っていました。

    ベッキーとブライスはすぐに恋に落ちて,これはまったく正しいことでした。そして永遠の結婚をしました。ベッキーもブライスも何らかの信仰の試しという試練を受けました。でも天父に従うことを二人とも選びました。従順が二人に力を与えました。強さをも与えました。それが彼らの残りの人生においても力を与えます。証を強められました。信仰を持ち,必ず祝福を受けるという望みをもって前進しました。

    『また,あなたがたは忍耐することによって自分の霊を保つために,常に主の顔を求めなさい。そうすれば,あなたがたは永遠の命を得るであろう。』(教義と聖約101:38)忍耐によってわたしたちは自分の霊を保つことができます。それはわたしたちが自分をしっかり管理できるということです。正しいことを行うための強さが与えられるという意味です。行いに移すという強さと信仰が与えられます。そして天父はわたしたちに祝福を与えてくれます。わたしたちが永遠の命を受けるということを教えてくれます。『祝福がすぐ来ることも,後から来ることも,天に行くときまで来ないこともあるかもしれませんが,イエス・キリストの福音を受け入れて従う人には必ず与えられます。』★どうぞ忍耐するのを恐れないでください。信じてください,そうすれば天父のすべての祝福が皆さんのものになります。」

    エバンズ会長はこう締めくくった。

    「ヒンクレー大管長の言葉を覚えていますか。『幸せになりたいですか。それならば自分を忘れて,この偉大な体系に心から献身してください。そして全力を尽くして人々を助けてください。』そうするためのいろいろな方法があります。伝道すること,結婚すること,また家族,教育,奉仕すること,エバンズ姉妹が言ってくれたようにその全部で忍耐する必要があるかもしません。わたしは帰還後3か月でエバンズ姉妹と結婚しました。でもわたしたちの愛する娘は何年か待つ必要がありました。すぐにその祝福が娘に与えられるように,わたしたちは断食して祈りました。でもなかなか正しい人,正しい機会はありませんでした。しかし正しいと分かったときベッキーはすぐに結婚しました。ですからすぐに結婚しなさいと言っているわけではありません。でも正しいと分かっているのに恐れることはありません。伝道であっても,教育であっても,奉仕することであっても,結婚や家族も,その原則は正しいです。あなた方には回復された真の福音があります。

    最後にヒンクレー大管長の言葉をもう一度引用します。『1933年の7月のその日がわたしには決意の日となりました。』今日があなたにとって決意の日となりますように願っています。」◆