リアホナ 2006年6月号 ただ偽らざる愛によって

    ただ偽らざる愛によって

    宣教師と会員が一致して伝道を心から楽しみ,レッスンの最中から求道者と会員の垣根を超え,親しい友達として交流しバプテスマを受けるとしたらどんなにすばらしいことだろう。そんな理想ともいえる伝道を実践しているのが長崎県の諫早支部だ。

    昨年の諫早支部の聖餐会の平均出席人数は25人前後。18人だった時期もある。もっと人数を増やしたいと思ったカイエル・ウィルモア長老と丸山裕太郎長老は支部のすべての会員へ,「11月までに出席人数を40人に!」と呼びかけた。その呼びかけにこたえ,「助けてくれる会員は多かったです。よくレッスンに参加してくれ,よく求道者にフォローアップしました。宣教師の力には限界があります。人がバプテスマを受けるためには必ず会員の力が必要になります。藤原姉妹はみんなの友達でした」とウィルモア長老。「最初のときにいい友達関係を築いてくださったので,何でも話せる仲になったと思います」と丸山長老も言う。

    求道者と会員ではなく普通の友達としての付き合いが自然とできている,と扶助協会会長の藤原美奈保姉妹は話す。「わたしたちと宣教師の仲がいいので来た人もみんな友達になってしまう,ただそれだけのことかもしれないです。」レッスンの後には必ず求道者を家に招待する。宣教師がいてもいなくても関係ない。親しい友人を招くようにお互いが気軽に誘い誘われる。彼女たちの間には求道者と会員という垣根が感じられない。丸山長老が初めて諫早支部を訪れた時,聖餐会に集っている人が全員教会員に見えたという。求道者は宣教師とレッスンの約束をすると,なんと求道者の方から会員へレッスンの立会いを依頼する。宣教師と求道者,宣教師と会員,会員と求道者の関係が驚くほどいい。──その理由の一つは,二人の宣教師が副支部長だからかもしれない。彼らは神権指導者として家族を祝福したり悩みを聞いたり励ましを与えたりして,会員と深くかかわる。長老たちは会員一人一人の状況をよく理解でき,会員は宣教師を身近に感じつつ信頼を寄せる。宣教師と会員のつながりが深いとみんなが伝道に集中できる,とウィルモア長老は言う。

    友達でいること,それがいちばん

    諫早支部では昨年の6月から今年の1月にかけて毎月1人から2人,合計10人のバプテスマが行われた。求道者だった期間は様々で,2か月の人もいれば7年の人もいる。宣教師が見つけた求道者もいれば会員の友達,会員の友達の友達もいる。石川智子姉妹は教会員ではない友達によって教会を知りバプテスマを受けた。また,サークル活動から改宗した姉妹もいる。諫早支部では毎週1回,歌のグループに教会堂を開放している。このグループは教会員もいるけれどそうでない人の方が多い。扶助協会会長の藤原姉妹もこのグループの一員で,彼女の歌仲間の藤本美詠子姉妹が昨年12月に,藤本姉妹の息子さんが今年の1月にバプテスマを受けた。改宗した10人のうち4人が女性である。長老が女性にレッスンをする場合神権者の参加が必須なのだが,6月にバプテスマを受けた新会員の渡辺兄弟が宣教師を助けたいと週に何回も積極的に参加してくれた。また新会員の半数が神殿に参入している。

    新会員が定着し活発に集うには? との問いに藤原姉妹は, 「会員になる前から友達でいること,それがいちばんだと思います」と答える。ウィルモア長老は「新会員として見るのではなくてほんとうに友達として見ます。新会員だから電話しなくてはいけないという義務ではなくて,好意としてフォローしたいと感じます」と力強く語る。

    諫早支部は2階建ての古い建物を借りて教会堂として使っている。バプテスマフォントはなく,2階のベランダに大きなバスタブを設置してバプテスマを行う。バプテスマの前後には宣教師がバスタブを洗うのだが,備え付けではないのでひっくり返して底も洗える。給湯設備もなく一年中水でのバプテスマだ。「温めようとするんですが効果がないんです。」やかんでお湯を注いでも冬はとても追いつかない。「冬は本当につらかったです」と丸山長老。「でもね,藤本姉妹とか渡辺兄弟はここで受けてよかったって,新しい建物になる前にって。二人ともそう言いましたよ。」味わいがあると藤原姉妹は笑う。お化け屋敷のような教会堂と水の漏れるバスタブで年中真水で行われるバプテスマは新会員に「みんなで頑張って新しい教会堂を!」という気持ちを起こさせる。

    諫早支部は温かい。心と心のつながりがある。愛がある。宣教師を愛し,求道者を一人の神様の子供として見,いつも心に留める会員がいる。平凡かもしれない。特別な秘訣は何もない。しかし伝道とはそういうものだ。小さなことから大きなことが生じるのだから。◆